全国こけしフェスティバルの魅力|開催情報と参加方法|こけしファンの女性が急増しています

工芸

こけしに対する注目が最近、非常に高まっていますが、ご存知でしたか?
こけしを特に好む女性たちを「こけ女」と呼ぶことがあり、現在その人気は第三次ブームとも言われるほどです。

ただの伝統工芸品ではなく、様々な人気キャラクターとコラボしたこけしや、こけしをモチーフにした雑貨なども多く生まれています。

この記事では、そんな人気を博しているこけしと、それにちなんだ全国規模のフェスティバルについてご紹介します。

こけしの誕生背景

こけしは、江戸時代の末期に東北地方で生まれたとされています。
当時の木地師が余った材料で作った子供のおもちゃが起源とされており、次第に東北の温泉地を中心にお土産物として販売されるようになりました。今では全国の様々な場所で目にすることができます。

もともとは子供の遊び道具として使われていましたが、大正時代に入ると大人も楽しむ工芸品としての需要が増えました。

こけしの名称の由来

こけしの名前には様々な説がありますが、一般的には「木製の芥子の人形」という意味からきているという説が有力です。
最初に使用された漢字は、その意味を当てたもので、「木芥子」「木牌子」「木形子」「木削子」といった表記がなされていました。

昭和14年に行われた全国こけし大会を機に、現在のようなひらがな表記が一般的になりました。

こけしの豊かな多様性

一見似ているように見えるこけしも、よく見ると髪型や装飾、表情の違いが際立ちます。こけしは産地ごとに10種類の異なる系統に分けられ、それぞれ独自の特徴があります。ここでは、それぞれの系統を簡単にご紹介します。

・土湯系
(土湯温泉、飯坂温泉、岳温泉/福島)
­ 目を象った模様が頭部にあり、前髪には赤い装飾が、体には線で描かれた模様が特徴です。

・弥治郎系
(白石市弥治郎/宮城)
­­ ベレー帽を連想させる頭部の装飾と、襟や袖を表す体の模様があります。

・遠刈田系
(遠刈田温泉/宮城)
­ 頭と頬に赤い装飾が施され、体には菊や梅の模様が描かれています。

・鳴子系
(鳴子温泉/宮城)
­ ­首を回すと独特の音がすることや、体が中心に向かって細くなる形状が特徴です。

・作並系
(仙台市、作並温泉、山形市、米沢市、寒河江市、天童市/宮城・山形)
­­ 頭部に輪っかの装飾があり、体には菊の模様が施されています。

・蔵王高湯系
(蔵王温泉/山形)
­­ ­黒いおかっぱの髪型と、体に様々な植物の模様が特徴です。

・肘折系
(肘折温泉/山形)
­ ­赤い放射状の模様や黒髪が頭部にあり、体には菊や石竹の模様があります。

・木地山系
(木地山/秋田)
­ ­大きな前髪とかつらを連想させる外見で、体には前垂れ模様や菊の模様が特徴です。

・南部系
(盛岡、花巻温泉/岩手)
­ ­おしゃぶりが原型で、独特の形状をしており、頭が動くことが特徴です。

・津軽系・温湯系
(温湯温泉、大鰐温泉/青森)
­ ­体にはシンプルなろくろ模様、帯、ねぶた模様が施されています。

鳴子温泉とそのこけし文化

鳴子こけしは、全10種類あるこけしの中でも特別に知られているものです。鳴子温泉、土湯温泉、遠刈田温泉はこけしの発祥地として広く認知され、こけし文化の中心地となっています。

鳴子温泉では、こけしを扱う店舗はもちろん、こけしに関連した資料館や自分でこけしを作る体験ができる施設が充実しています。

こけし祭りの見どころ

鳴子温泉では年に一度、全国こけし祭りが開催され、これまでに60回以上の開催実績があります。この祭りでは、鳴子系をはじめとする全国から集まった著名なこけし職人が実演販売を行います。

こけし供養祭や奉納式、絵付け体験、コンクール、パレードといった様々なイベントが盛りだくさんで、訪れる人々に楽しみを提供しています。

イベントの詳細

♦こけし供養祭

こけしに込められた思いを敬って供養を行い、こけし業界の発展を願う大切な儀式です。

♦こけし奉納式

こけし祭りの成功とこけしへの感謝、業界の発展を祈るため、全国のこけし職人が心を込めて作った作品を神社に奉納します。

♦こけしコンクール

全国の職人が制作した約300点のこけしの中から、文部科学大臣賞など31の賞を受賞する作品が選ばれます。受賞作品は祭りの期間中、鳴子小学校の体育館で展示されます。

♦こけしの実演展示即売

来場者の前で伝統こけし職人が絵付けを実演し、その場で販売も行います。このイベントは始まるとすぐに長い行列ができるほど人気です。

♦こけし座談会(こけしフォーラム)

こけし職人や愛好家、タレントやクリエイターが参加する交流の場です。

♦フェスティバルパレード

神輿や鳴子踊り、そして「張りぼてこけし」を伴ったパレードが祭りの一環として開催され、毎年参加者を募集しています。メールやFAXで応募が可能で、18歳以上なら誰でも参加できます。

鳴子温泉へのアクセス方法

全国こけしフェスティバルの開催地である鳴子温泉への行き方をご紹介します。

鉄道

「仙台」駅から東北新幹線に乗り、「古川」駅で陸羽東線の快速に乗り換え、「鳴子温泉」駅に約40分で到着します。

東北自動車道「古川IC」から出て国道47号線を約27km走ると鳴子温泉に着きます。

高速バス

仙台駅から鳴子温泉まで、1,300円で利用できる高速バスが運行しています。

鳴子温泉では、こけしの販売や絵付け体験を提供する店舗がたくさんあり、「日本こけし館」でこけしの歴史や作り方、ロクロ実演を見ることができます。フェスティバルだけでなく、温泉でのんびりするのもおすすめです。

こけしブームの新潮流

現在、特に女性を中心に第三次こけしブームが起こっており、かわいらしいデザインのこけし関連商品が人気を集めています。

猫やハローキティ、ミッフィーなどのキャラクターをモチーフにしたこけしや、こけし柄の手ぬぐい、ポーチ、ストラップ、ヘアピン、バッグ、こけし型の印鑑ケースなど、さまざまなこけしグッズが雑貨店で販売されています。

こけしをこれから楽しもうと思っている方は、これらのアイテムから始めるのがおすすめです。

まとめ

こけしは、その伝統と多様性により日本の工芸品として高い評価を受けていますが、まだまだ知られざる魅力がたくさんあります。自分の好みに合ったこけしやグッズを見つけて、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。