沖縄の伝統的な染色と織物:選りすぐりの琉球の色と織りの芸術12選

工芸

日本には、経済産業省によって認定された伝統工芸品が237品目あり、その中で沖縄県は16品目を占めており、全国でも特に多い地域の一つです。沖縄の伝統工芸品には、壺屋焼や琉球漆器などさまざまなものがありますが、特に染色と織物に関連する品目が13品目と目立っています。この記事では、沖縄の染色と織物にスポットを当て、経済産業省によって認定された伝統工芸品を中心にご紹介します。

久米島紬

沖縄本島から西に約100kmの位置にある久米島は、久米島紬の生産地として知られています。泥染めの工程を経て、その光沢感と深みのある色合いが特徴的です。

由来と展開

久米島紬は、14世紀に中国から伝わった養蚕技術を基に「堂之比屋」が始めたとされています。2004年に重要無形文化財、1975年には経済産業省指定の伝統的工芸品として認定されました。

宮古上布

宮古島で主に生産される宮古上布は、細い糸で織り上げる繊細なかすり模様が特徴的な麻の織物です。その滑らかさは、ロウを塗ったようにも感じられます。この織物は、その軽やかさと薄さから、夏の高級着物として特に価値があるとされ、「東の越後、西の宮古」とも称されます。また、独特のかすり模様と生地の光沢が魅力的です。

由来と展開

宮古上布は、14世紀に宮古島で栽培された苧麻を使用して織り始められ、16世紀にはその形が確立されました。現在、この織物は1978年から重要無形文化財、1975年から経済産業省指定の伝統的工芸品として認定されています。

読谷山花織

読谷山花織は、沖縄県中頭郡読谷村で生産される織物で、南国の雰囲気を色濃く反映した美しい布です。その鮮やかな色と柄が人気を集めています。この織物には、「緯浮花織」「経浮花織」と手作業で模様を作る「手花織」があり、「花織」とは縞模様の中に小花を浮き織りにする技法です。

由来と展開

読谷山花織は、15世紀にすでに織られており、琉球王朝時代には特別な布とされていました。現在、この織物は1976年から経済産業省によって伝統的工芸品に認定されています。

読谷山ミンサー

読谷山ミンサーは、読谷山で生産される綿の紋織物で、鮮やかな色使いと絣模様が特徴です。この織物は、「綿(ミン)で織られた幅の狭(サー)い帯」という意味を持ち、その幾何学的な柄が「グーシー花織」とも称されます。

由来と展開

読谷山ミンサーもまた、15世紀にはすでに存在しており、アフガニスタンからチベット、中国を経由して沖縄に伝わったとされています。この織物は1976年から経済産業省によって伝統的工芸品に認定されています。

琉球絣の伝統

沖縄県の那覇市、八重瀬町、南風原町を中心に製造されている琉球絣は、沖縄独特の絣織物として知られています。沖縄全域で作られる絣やデザインは総称して「琉球絣」と呼ばれますが、特に南風原町近辺で作られる織物は経済産業省から伝統的工芸品として指定されています。

琉球絣は、日本の絣の起源ともされており、自然や日常生活からインスピレーションを得た柄が特徴です。その柄のバリエーションは600以上に及びます。

由来と展開

14世紀に、東南アジアや中国との貿易を通じて生まれたとされる琉球絣は、1983年から経済産業省指定の伝統的工芸品になっています。

首里織

首里織は、沖縄県那覇市、西原町、南風原町で製造されており、首里の城下町文化を映し出す高品質で洗練された織物です。元々は首里の王府で作られ、上流階級向けの製品とされていました。特に「花倉織」や「道屯織」などの織り方は、王族や貴族だけが着用を許される特別なものでした。

由来と展開

15世紀の交易を起源としており、首里の城下町文化と共に洗練された織物へと進化しました。1983年から経済産業省による伝統的工芸品としての認定を受けています。

与那国織

与那国町で製造される与那国織は、日本最西端の島の文化を反映した織物で、「ドゥタティ」や「ガガンヌブー」、「花織」、「シダティ」など4種類の織物を包括します。特に、沖縄の自然が生み出す美しさが特徴です。

由来と展開

16世紀からその歴史を持ち、糸の入手が難しい時代には漁網を再利用して伝統を守り続けてきました。1987年以降、経済産業省の指定伝統的工芸品に数えられています。

喜如嘉の芭蕉布

大宜味村で主に生産される喜如嘉の芭蕉布は、糸芭蕉から採取される繊維で作られ、その軽やかさと肌触りの良さが特徴です。沖縄の暑い夏に最適な衣料として広く使われています。

由来と展開

13世紀に起源を持つ喜如嘉の芭蕉布は、沖縄の織物の中でも最も古い部類に入ります。1974年からは重要無形文化財、1988年からは経済産業省指定伝統的工芸品に認定されています。

八重山ミンサー

石垣市、竹富町で製造される八重山ミンサーは、主に帯として用いられ、その模様に込められた願いが特徴です。「いつも(5)の世(4)も仲良くして」という意味を持つ絣模様は、織り手の技術と心意気を反映しています。

由来と展開

17世紀から織り始められた八重山ミンサーは、男女間の愛情表現の一つとしても用いられてきました。この織物に込められた意味は、時代を超えて受け継がれ、現在では1989年から経済産業省によって伝統的工芸品として認定されています。

八重山上布

沖縄県の石垣市や八重山郡竹富町などで作られている八重山上布は、白を基調とし赤茶色の染料で絣模様を施した麻の織物で、色上布として親しまれています。この地域独特の絣糸を使い手作業で織ることにより、特有の肌触りと着心地が生み出されており、特に夏には人気の装いです。

由来と展開

八重山上布の起源は明確ではありませんが、17世紀には既に琉球王府への献上品として記録に見えます。明治時代に入って組合が形成されたことで、この産業はさらに発展を遂げました。現在では、1989年から経済産業省により伝統的工芸品として認定されています。

琉球びんがた

琉球びんがたは、沖縄を代表する染色技法で、鮮やかな色使いが特徴です。「びん」は色、「がた」は模様を意味し、この技法では顔料を使い、沖縄の強い日差しにも色褪せしにくい作品を生み出します。色を塗る際には塗り筆とこすり筆の二種類を使用し、顔料をしっかり浸透させます。

由来と展開

琉球びんがたは、13世紀頃に起源を持つとされています。琉球王府時代から貴族や武士に重宝され、保護されながら発展してきました。現在は、1984年から経済産業省によって伝統的工芸品として指定されています。

知花花織

沖縄市で生産される知花花織は、伝統工芸品で、縦に連続する模様を特徴とする経浮花織と、刺繍のように糸が浮かぶ縫取花織の二つの技法で知られています。

由来と展開

18世紀から現在の形で製造が始まった知花花織は、祭りや特別な行事の際に着用されることが多かったです。2012年以降、この工芸品も経済産業省から伝統的工芸品として認定されています。

南風原花織

沖縄県鳥尻郡南風原町で主に生産される南風原花織は、ヤシラミ花織やクワンクワン織りなど、この地域特有の模様や技法を持つ華やかな織物です。

由来と展開

明治期に家伝の技術として伝えられた南風原花織は、大正3年に設立された南風原村立女子補修学校での技術伝承を通じて広まり、発展してきました。

まとめ

沖縄の豊かな自然と文化が映し出された美しい染織品は、多くの人々にとって憧れの存在となっています。